PEST分析
【目次】
前回、3C分析を解説しました。
今回は同じく分析のフレームワークであるPEST分析を取り上げます。
PESTとは?
そもそも 「PESTって何?」って話なんですけど。
これ、中世ヨーロッパを襲った黒死病ペストのことじゃないですよ。今さら世界史を勉強している場合じゃありません。
Politics、Economy、Society、Technology の頭文字をとって、PESTと呼びます。
日本語で書くと、次のようになります。
- Politics:政治的要因|行政レベルのルール変化(法律や条例、規制などの)
- Economy:経済的要因|経済の動向変化(経済成長や景気、物価、為替動向など)
- Society:社会的要因|生活者のライフスタイルや意識の変化
- Technology:技術的要因|商品開発技術や生産技術、マーケティング技術の変化
3Cがミクロな環境を分析する際に使うのに対して、PESTはマクロな環境を分析する際に使います。
マクロレベルになると、もはや自社が変えられる要素はほぼゼロです。つまり、分析した上で取る行動は、その市場には進出しない(もしくは撤退する)か、その環境に適応するかのいずれかになります。
何を分析するの?
PESTは疫病でないことはわかったぞい、といったところで、それぞれの何を分析するのかという話です。
Politics-( )は例
Economy
- 景気動向の変化(アベノミクス)
- 労働市場の変化(有効求人倍率の上昇)
- 賃金動向の変化(最低賃金の引き上げ、 低水準のままの中小企業給与)
- 消費者物価の変化(宮城県内のインフレ指数)
- 為替の変化(輸出入コスト)
- 金利の変化(設備投資)
等
Society
- 景気動向の変化(アベノミクス)
- 労働市場の変化(有効求人倍率の上昇)
- 賃金動向の変化(最低賃金の引き上げ、 低水準のままの中小企業給与)
- 消費者物価の変化(宮城県内のインフレ指数)
- 為替の変化(輸出入コスト)
- 金利の変化(設備投資)
等
Technology
各要素の変化、影響を鑑みながら、総合的に戦略を検討していくようにしましょう。
例えば人材ビジネスの場合...
労働市場、人材ビジネスを例にPESTを考えてみます。
Politics
- 働き方改革、テレワーク、外国人雇用など政府の方針が次々を出されています。
Economy
Society
Technology
上記のポイントを踏まえると、例えば、HR Tech分野のビジネスの盛り上がりが予想できますし、簡易業務を代替するRPA(Robotic Process Automation)のようなニーズも増えていくでしょう。このようにして、ビジネスの戦略を立てて行きます。
分析よりも重要なこと
分析結果は、当然、マーケティング施策(セグメントやポジション、4P)にも影響してきます。
例えば、現在、各地でビジネスセミナーが開催されていますが、徐々にオンラインセミナーの存在感が増してきています。わざわざ会場に行く必要がない、受講料も安い、自分のタイミングで受けられる、といった点がオンラインセミナーの強みです。
これは、ITの進化によって実現したもので、PEST分析でいうTechnologyの変化によって、セミナーというサービスの価格(Price)、場所(Place)が影響を受けていることを意味します。
こうした状況にあっても、オンラインセミナーに移行せず(できず)リアルセミナーのみを開催する団体の方が圧倒的に多いのが現実なのですが、逆をいうと、分析し、すばやく行動に移せる企業は、優位に立つことができるわけです。
分析は重要ですが、分析を意味のあるものにするためには行動が不可欠です。
きちんと行動にも移していきましょう。
意識高いヨミモノ
『エコノミストが教える経済指標の本当の使い方』
初心者向けのマクロ経済解説本です。
例えばアメリカの雇用統計が発表されるときは、株価や為替が変動します。なぜそのようなことが起こるのかについて、用語解説とともに説明されています。
「アメリカの経済なんてワシの街にゃ関係ないよ。」と思うかもしれません。
地理的に遠いのは事実ですが、心理的距離や経済的距離はどんどん近くなってきていますよ。「海外展開したいけど、円高の影響で輸出に踏み切れない」といった声を地方の企業経営者からも聞きますしね。
読んでおいて損はしないと思います。
ご一読あれ。