プロダクトポートフォリオマネージメント(PPM)

【目次】

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今回のテーマはPPMです。PPMというのは略語です。

世の中、3文字略語が多くないでしょうか?すでに全17576通り(26^3)が使い果たされていると思います。

 

プロダクトポートフォリオマネージメント(PPM

まずはプロダクトポートフォリオマネージメント ってなんぞや、という話から。

長く続く中堅以上の企業はたいてい複数の事業を展開しています。万が一、1つの事業が倒れても他の事業でカバーするというリスクヘッジの意味合いや、1つの分野のシェアをこれ以上広げられないため新市場に進出するなど、その目的はさまざまです。起業後10年の生存率は5,6%といわれますが、その原因の一つに多角化しなかった(できなかった)こともあるのではないかと個人的に感じています。

で、ですね、複数の事業を展開していくと、各事業を総合的に管理する必要が出てくるわけですよ。これは、限られた経営資源を効率良く分配したり、稼げる事業をより大きくしたりして、トータルで成長していくためですね。

で、その事業管理に用いられるのがプロダクトポートフォリオマネージメント(PPM)です

PPMボストンコンサルティンググループが開発したフレームワークです。自社の製品や事業を、市場成長率と相対的なマーケットシェアから4つのポジションにカテゴライズし、今後の事業展開を検討します。

 

PPM

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軸の置き方によって、配列が変わるりますので注意が必要です。アイコンは英語ベースでつくってます汗

各ポジションの定義は下記のとおりです。

  • 問題児(Question Marks):成長率が高い反面、占有率が低い分野。多額な投資資金が必要な一方、多くの資金流入は見込めない。シェアを拡大しつつ成長を高めることができれば先述の「花形」となるが、シェアや成長が低いままだと後述の「負け犬」となる。
  • 花形(Stars):成長率・占有率ともに高い。収入も大きい反面、成長局面にあるため競合も多く、設備投資や開発費など多額の追加投資を必要とする状態。高シェアを維持し続けることで「金のなる木」へと育てるべきであるが、シェアが低下すれば「負け犬」となる。
  • 金のなる木(Cash Cows):シェアの高さから大きな利益が見込めると同時に、成熟局面にあるため追加的な投資もあまり必要でなく稼ぎ頭となっている状態。ただし、市場は既に成熟局面にありそのままでは会社が衰退してしまうおそれもある。
  • 負け犬(Dogs):成長率もシェアも低く、利益も上げられないまま市場競争に負けてしまっている分野であり早急な撤退を検討すべきとされる。投資次第では先述の「金のなる木」になりうるが、深入りして撤退の時期を誤ると損失の増大をもたらす。
(一部、wikipediaから引用)

しっかし、なんちゅうネーミングや。そしてなんちゅう日本語訳や。センスゼロやろ!もっと覚えやすい名前にせい!

そう思いませんか? 私はそう思います。でも覚えるしかありません。

ちなみに、Dogs が負け犬と訳されていますが、元々、dogには「魅力がない、くだらない、失敗」といった意味があります。underdog と言うと完全に負け犬を表します。

Cash Cows には黒字部門という意味もあります。cow(雌牛)から長期的に乳がとれるからです。あと、Bull Marketは強気相場、Bear Marketは弱気相場を意味します。動物を使った表現は面白いですね。

閑話休題

 

PPMの活用の仕方

基本的に、プロットした事業を問題児、花形、金のなる木の順に事業を成長させていくように戦略を検討します。そう簡単にいくものでもありませんが。

【事業の成長戦略】

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この流れ、何かに似ていると思いませんか?

そうです!プロダクトライフサイクル(PLC)です。

【PLCとPPMの関係】

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実際はこのようにくっきり分かれているわけではありません。もっとブラーです。

 

忘れた人はもう一回読み直しましょう。【PLCとイノベーター理論】

 

さて、両者は似ているとはいえ、目的が異なります。

PLCは単体の製品について時系列で売上のボリュームを表すものです。一方、PPMの目的はあくまで全体最適のための資源配分マネジメントです。

なので、複数の事業が登場しますし、ポートフォリオが必要になるわけですね。特に、金のなる木で稼いだ利益を問題児に投資することにより、問題児を花形へと成長させていく。これがPPMの本質だと思います。

 

【資源の分配略】

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自社の事業に落とし込んでみると...

PPMの概要をご理解いただいたところで、事業に落とし込んでみましょう。

まずは、各事業における ①市場成長性 ②マーケットシェア ③売上 のデータを揃えます。

これらのデータをExcelに落とし込み、バブルチャートで表示します。

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 上図はあくまで例ですが、下記のようなことがわかります。

  • 問題児:次期成長事業がないため、新規事業の創出が必要。
  • 花形:今後のメイン事業として展開する。ただし競合が多いため負け犬転落への注意が必要。
  • 金のなる木:事業がないため利益を問題児に還元できていない。

 

 

以上です!

PPMの概要はわかっても、実践となると難しいかもしれません。

また、市場成長率、マーケットシェアが不明確なことが多いため、PPMだけでなく、他のマネジメント手法を交えて事業を管理していくことが望ましいです。

とりあえず1回はトライしてみてください。新規事業を考えるタイミングなんかは絶好の試し時です。実践してみて初めてわかることがきっとあるはずです。

 

意識高いヨミモノ

booklog.jp

『VISUAL THINKING - 組織を活性化する、ビジュアルシンキング実践ガイド』

PPMの良いところはひと目で状況を把握できるところだと思います。そもそもチャートがビジュアルでわかりやすく伝えるものなので、あたりまえと言えばあたりまえなんですけど。今回の挿絵を作ってて、「やっぱりデザインって重要だよな」って思いました(絵やチャートがわかりにくかったらすみません)。

『VISUAL THINKING』は「ものごとをわかりやすく伝えるために絵や画像を使いましょう」という内容の本です。

神経細胞の75%は視覚情報を処理するために使われています。つまり、視覚的にきちんと訴求できれば、相手に伝わりやすくなります。この本を読んで(実践して)、デザイン力を高めましょう。

 

ご一読あれ。