プレスリリース
【目次】
マーケティングミックス(4P)のひとつに Promotion がありました。
今回はPromotionのうちの一手段であるプレスリリースについて解説します。
プレスリリースの目的
プレスリリースを行う目的は何でしょうか?
それは、マスメディアの拡散力を利用して、自社の取り組みを多くの方に知ってもらうためです。
メディアに取り上げられるとこんなにメリットがあります。
- 会社、商品・サービスの知名度がアップする
- 製品ライフサイクルの導入期、成長期において売上・利益の増加が期待できる
- 掲載記事を営業ツールとして使える
- 追加取材を獲得する機会ができる
- 内部報告に使える
デメリットとしては、工数がかかることでしょうか。真剣にやると時間がかかります。
プレスリリースの訴求ポイントは2つです。たった2つですので、覚えておいてください。
1つはインパクト、もう1つはコンテキストです。
インパクトは事実で、コンテキストは感情で訴求していきます。これだけです、これだけ。
インパクトのあるコンテンツか?
まずは1つ目のインパクトについてです。みなさんがリリースしようとするコンテンツ(事業、企画)は社会にどれだけインパクトを与えられるでしょうか?
社会に与えるインパクトの大小によって、記事の掲載可否が決まります。インパクトが小さければ、リリースしても記事になりませんし、そもそもそういう新規事業はやるべきではありません。
新規事業立案のポイントでも解説しましたが、メディアに取り上げられるかどうかは事業にとって非常に重要な要素です(取り上げられることを主目的するのは当然ですがNGです)。
具体的には、下記5つの要素のうち3つ以上をリリース文に盛り込むと記事になりやすくなります。キャッチコピーやリード文は特に下記要素を意識して作成しましょう。
要素
|
ポイント
|
文章例
|
新規性
|
今までにない新しい商品(サービス)か
|
「世界で初めて商品化」
|
希少性
|
競合が扱っていない商品か
|
「ここだけでしか手に入りません」
|
適時性
|
トレンドにのっている商品か
|
「アメリカで大流行中の商品がついに日本に上陸」
|
必要性
|
需要が見込める商品か
|
「働く女性の意見を取り入れ商品化」
|
地域性
|
地域の特色が出ている商品か
|
「宮城産〇〇を使って製造」
|
心揺さぶるコンテキストか?
これはいわゆるストーリーです。
記者(読者)の気持ちを揺さぶれるかどうかがポイントです。下記の3要素を時系列ですべて盛り込みましょう。
要素
|
ポイント
|
背景
|
どういうことがきっかけで取り組むようになったのか
|
現状
|
今どんな思いで取り組んでいるのか
|
今後
|
これからどう取り組んでいきたいのか
|
ちなみに、これらの文章の近くに顔写真が挿入されているとさらに気持ちが伝わりやすくなります。
コンテンツ作成の手順はたった4つ
ここからはプレスリリース作成の具体的な手順を説明していきます。
プレゼン資料をつくる手順と一緒です。間違っても④から始めないように。順番を守りましょう。
① 伝えたいことを決める
このプレスリリースで最も言いたいことは何か(コンセプト)を決めます。
② テキストのみで内容を作成する
テキストは骨格部分だと思ってください。骨格がきちんとしていないと全体が弛緩してしまいます。リリース構成や記載項目、記載内容をWordやメモ帳にテキストのみで書いていきます。テキストのみです、テキストのみ。強い骨格を作ってください。
- インパクト、コンテキストを踏まえた文章をつくる
- 主観的表現を避け、データに基づいて事実を述べる
- 修飾語を省略する、長文を2つに分けるなど短文を心がける
- フォントの種類・大きさ・色の変更は行わない(④で行います)
③ 画像、表、グラフを用意する
骨に付ける肉の部分です。テキストで表現した内容のうち、ビジュアルで訴求したほうがわかりやすいものを置き換えます(もしくは補足します)。
④ デザインに落とし込む
服の部分です。②③を適切な(記者が読みやすい)位置にはめ込んでいきます。ここでテキストや画像を再考することのないように(そういう場合は、②③に戻ってください)。
デザイン起こしは A4 1ページがルール
ルールとして、A4 1ページで収まるようなコンテンツにしてください。記者も忙しい中で、大量のリリースを読まなくてはいけないわけですから、短時間で読めてしかも印象に残るリリースを心がけましょう。ただし、興味を持ってもらった際に読んでもらうために補足資料を添付するのは問題ありません。
掲載するコンテンツは主にこのようなものになります。
要素
|
内容
|
タイトル
|
記者(や読者)が一瞬で事業内容を理解でき、リリース全部を読みたくなるタイトルに。
|
副題(キャッチ)
|
タイトルの補足的な役割を担う。事業の特徴が伝わるコピーを1行で。
|
リード
|
リリースの概要を簡潔に。長すぎると読んでもらえないので3行程度で。
|
事業概要
|
商品の特徴やイベント概要を箇条書きで。最低限伝えておかないといけない情報を記載。
|
クロージング
|
問い合わせ先・取材申込の方法など、記者にアクションを促す内容を記載。
|
なお、リリース文を起こす際には、WordではなくIllustratorを使いましょう。
Wordだと行間が自由に設定できなかったり、写真の設置箇所を思うように設定できなかったりするため、スペースをフルに活用できません。
以上です!
プレスリリースを出して、記者からリアクションがあると、なんか世間に認められた気になります笑 その気持ちを皆さんにも味わってもらいたいです。
意識高いヨミモノ
『なるほどデザイン〈目で見て楽しむ新しいデザインの本。〉』
久々にデザインの本の紹介を。
同じテキストでもレイアウトやフォント(の色、大きさ、書体など)を変えるだけで、まったく違った印象を与えるということを事例を交えて紹介しています。「デザインって深い!」と再認識させられる内容です。
プレスリリースも同様で、単に文章を羅列したリリースと、デザインを加えてわかりやすさ・伝わりやすさを追求したリリースでは記者の反応が全然異なります。
せっかく作るなら、相手や自分にとって意味のある作品にしていきたいですね。
ご一読あれ。